DCの出番無く    DC AiAF Nikkor 105mmF2D

DC AiAF Nikkor 105mm F2D
 DCを冠するレンズは、他に135mmF2がある。いずれもコマ収差を意図的に作り、ボケ描
写を演出する機能を持った、ニコン独自のレンズである。作りはいたって頑丈そうだが、スク
ーターの積んで長時間走行し、その振動で、ガタガタになったことは、他項で述べた。MFで
使うには、ヘリコイドのフィーリングが、今ひとつであるが、ボディ駆動AFとしては、使用しや
すい。これが、超音波モーター内蔵なら、AF・MFともに使用感の良いレンズだと思う。
135mmに比べ、レンズが置くにはいっているため、短めの内蔵フードであっても、それなり
に光源カット効果はある。このレンズを購入した理由は、明るさにある。実際には、MF105
mmはF1.8で1/3明るいが、電子機能を備えたF5を生かすならAFレンズが選択される。
このレンズの特徴は、前述した“ボケ描写”にあるのだが、小生にとって、この効果は使用し
たことが無い。DCリングという機能で、絞り値と収差の調整をするメカを搭載しているのだが
厄介なのが、その効果がファインダーでは確認できないこと。その理由はよく分からない。
レンズ本来の性能として、開放から実に良い描写をしてくれるので、大変重宝した。特に室
内における自然光を使った撮影は威力を発揮する。そんな訳で、開放で使う機会が多かっ
た。しかし、ある日、大失敗をすることとなる。仕上がりを見たら、このレンズを使ったカットが
滲んでいるではないか。つまり、これぞDC効果である。開放で使っている分、その効果もバ
ッチリと出ているではないか。DCリングはロック機能があり、不用意に動かない配慮はなさ
れているのだが、それでも帆布製カメラバッグに入れた場合にロックボタンが押され、不用意
にDCリングが回転することは十分考えられる。そして、ファインダーでは、その状態が確認
できないことから、全く気付くことなく、撮影をしていたことになる。他にも多くのカットを別の
レンズで撮っていたので、一応、事なきを得たが、しかし、一瞬のシャッターチャンスにかける
カメラマンからは“失格”の烙印を押されても仕方ない失敗であった。それ以来、DCリングを
セロテープで一周するように固定して使用した。
個人的には、DCで得られるボケは好みではなかったため、この失敗以外、一度たりともDC
を使うことは無かった。
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