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使いやすいMF?機   Nikon F4&F4s

Nikon F4s
 ニコンには、奇数神話がある。フラッグシップ機の数字である。 小生の感想では奇数が大きな変革をするのに対し、偶数は全体の変革に追い着かない印象を受ける。 F2に対するキヤノンF1は、先代機種の成功の違いからF2は保守的に、F1は、雪辱を果たす姿勢が伺え、その後オリンパスOMシリーズのような新しい技術を搭載したカメラが技術面で他メーカーに影響を与えて、F2はいたって地味なカメラとなっていった。 ではこのF4はどうであっただろうか? F3に対しモータードライブ内蔵、つまり巻き上げレバーを有しない。そしてプラスチックボディ。 外観は大きく変わり、新たにAF機能を搭載した大変貌を遂げている。 が・・・やはり地味である。 
 それは、下位機種F801のAF機能や縦走り高速シャッターをフラッグシップ機に対応すべく強化を図ったもので機能自体は、この時点でさほど斬新なものではなかった。 更にキヤノンは従来のF1以下、マニュアルシステムを全廃しEOSシリーズに移行。 コラーニデザインを引き継ぐボディが斬新であった 。更にF4次代にEOS1からEOS1nと短い期間にモデルチェンジをしてF4を引き離した。 
 名誉挽回か、F5が打倒EOSで登場し、F4は偶数ニコンのイメージを更に決定付けた。 
 しかし、F4は一部にMF機として人気があるという妙な現象が起きている。
 MFといえばF3である。事実、F3は18年生産という偉業を成し遂げている。 F4発売から生産中止後も販売され続けたのである 。小生の印象では、プロカメラマンの間でAFが普及しはじめたのは、EOSが主流になったキヤノンユーザーが先行し、ニコンユーザーはF5が流通してからと考えている。 その間に、かなりのニコンユーザーがキヤノンへ流れた。 レンズ内モーター、更に超音波モーター、豊富なレンズラインアップは、AF主流となる時代にニコンは水をあけられた感は否めない。
 AFとしてのF4はセンサーが中央一点のみで、今日のAF概念からすれば、動体予測等の機能はあるもののフレーミングであまり自由が利かない。 レンズを含めAFがMFに取って代われるにはまだ不十分であった。 カメラマン側にAF慣れしていないのも確かであるが、四六時中写真を撮っているプロにとって、それまで培った撮影技術があるわけで、とりわけ、その世界でのAFは見方が厳しくなる。 ただ、F4とは、実は従来ユーザーに対し配慮したカメラで、あらゆるニッコールレンズが使用できる。
 その当時の最新レンズから、試作機にも近かったF3AFレンズも使える唯一のカメラである。 当然、MFレンズも従来同様に装着できる。 そうなるとF5が登場してAF重視、MF切捨て傾向の中、従来レンズ愛好者にとってF4は使いやすいカメラであることが、再評価されることになった。 カメラボディ自体の操作性は、F3に比べ格段に向上し、音も静かになったF4は、ステージ撮影では、暗部にいても見易いファインダー内表示などと合わせ、AFカメラながら、MFで使うことを目的に購入するカメラマンがいた。

Nikon F3+MD4