Ai AF Nikkor 20-35 F2.8D |
ズームレンズは、元々ムービーカメラ向けのものであったが、レンズ交換が可能なスチルカメラ でも採用されることになる。しかし、動画に対し静止画の写真では、高いレンズ性能が要求される ことから、はじめのうちは、2倍ズーム付近が良いところで、それでも単焦点と比較されれば、暗く 低い画質のものであった。小生が、初めて手にしたズームレンズは、Ai Nikkor80-200F4.5sという 望遠直進ズームであった。当時としては、評判の良かったレンズであった。とはいえ、小生には馴 染まず、早い期間で手放した。これは、個人の問題でもあるが、どうもズーム自体が慣れない。 80mmで寄って行き、200mmで後ろにさがろうとする。ただ、これは小生だけでなく、周辺でも、同 様な話をよく耳にした。また、当時としては80mmで開放4.5は暗い。フィルム時代は、デジタルよ りレンズの明るさが要求された。したがって80−200F4.5(当時は、F2.8はなかった)より、85 mmF2もしくはF1.4と180mmF2.8を持っていった方が、使いやすかった。この頃は、広角系ズ ームは少なく、標準系もさほどズーム比があるものではなく、それでいて描写力は低いものであっ た。Ai Nikkor35−70F3.5sというレンズが登場した、2倍ズームで3.5の開放値であってもフ ィルター径は72mmであった。後に62mm径となったが、このレンズは、全域でかなりの性能を発 揮した。この後に、AF時代が到来し、各メーカーのレンズが一新される。小生は、仕事の傾向が、 広告から出版業界に移行して、あまり多くのレンズを持ち歩くのも大変になってきたことから、80 −200以来、無視していたズームレンズの検討をして20−35F2.8を購入した。このレンズは、 小生が従来持っていたズームに対する見識を塗り替えるもので、20mmでの周辺が多少流れる 程度で素晴らしい描写力であった。もちろん、F2.8というのは、このクラスの単焦点レンズの開放 |
値と大きな差は無く、問題ない。もっとも、本当に明るさが必要な場合は28mmF1.4という超高価なレンズを使用していた。この頃には、中望遠ク ラスの80−200にも開放F2.8が比較的購入しやすい金額で提供されていたが、それでも85mmF1.4を主流としていたので、ズームも暫くは、 20−35止まりであった。しかし、このレンズも引きの無い車内などでの撮影では、単焦点20mmに比べ前玉が、かなり前に出ることから、20mm の持つ画角の広さが生かせないなどの不便さを感じたこともある。 しかし、NikonF3時代と違い、AFの時代はAF以外にも電気的作動が増え、レンズとボディとの接触部分に電気接点が付けられたことで、あまり 激しい、レンズ交換は、好ましくなくなった。同時に、ズームレンズが一般的となり、特にニコンの場合は、従来の絞りリングによるF値設定から、電 気信号による方式が採用されるようになり、ニコンF5には、絞り用のコマンドダイヤルが装備された。撮影条件が、プログラムオートやシャッター優 先オートを使用し、F値を気にしない撮影なら、カメラボディに絞り設定機能が付いたとしてもさほど、関係ない話であるが、マニュアルでの露出設定 においては、この機能が付いたことはとても大きい。 |
Ai Nikkor 80-200 F4.5s |
ズームレンズは、高価なものは、焦点距離が変動してもF値は一定であるが、一般的 なものやズーム倍率が高いレンズは、焦点距離によってF値が異なってくる。特に、中 間での焦点距離の場合、絞りリングでのF値は本当の数値ではない。したがって、こと 外部露出計を使用する場合は、F値の変わるズームレンジは、非常に使いにくいのだ が、ボディ側で電気的にF値が設定できればどの焦点距離でも正確なF値ということに なる。 F値が焦点距離で変動するズームレンズが一気に使いやすくなった。そして時 代はデジタルへ。 デジタルカメラは、フィルムと違い撮像素子が固定である。したがって、埃などが付着 していると、そのまま、仕上がりを見るまで気付かないことも生じることから、極力、レン ズ交換は避けたい事情がある。そうなると、ズームレンズの方が、理想となってくる。 しかもデジタルの特性上、光が平行に撮像素子に入ってくることが望ましいため、特に 広角レンズでは、単焦点よりズームの方が有利である場合も出てくる。また、デジタル は、高感度ノイズについて、いろいろ問題視されるが、そのなかも悪評のニコンD2Hで も、高感度フィルムよりは、画質は良い。したがって、明るさを求める意味での大口径レ ンズもフィルム時代ほどの要求度は少なくなった。 そんな理由から、いつしか小生も ズームレンズが主力となった。 |
ズームレンズに慣れるまで | AiAF Nikkor 20−35 F2.8D |