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【知道中国 279回】〇九・九・仲二
―これは《熱帯への進軍》の受け皿なのか |
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古来、新しい生存空間を求めて移動することを常としてきた漢民族が新しい環境で生き抜くために頼ったのが血縁であり、地縁であり、業縁だった。これを纏めて「三縁」と呼ぶが、中核的機能は相互扶助である。血縁、つまり同姓の相互扶助組織を一般に宗親会という。70年代末に中国が改革・開放政策に踏み切ったことを機に、それまで国や都市単位で“内向きの活動”をしていた宗親会が世界的なネットワークを作りはじめた。いまや宗親会のみならず、同郷会も同業会も国境を越えた世界規模の連係が進んでいる。
7月23日、バンコクにあるタイ最大の同郷会館の潮州会館を会場に「東南亜各姓宗親聯誼大会」が開かれた。主催はタイ華人社会において同姓団体を束ねる泰華各姓宗親総会聯合会で、後援はタイ政府観光局。海外からは柬埔寨(カンボジア)華理事総会代表団(団長:林恵龍。以下、カッコ内は団長名)、印尼(インドネシア)百姓協会代表団(熊徳怡)、寮国(ラオス)百畑中華理事会代表団(黄豪)、馬来西亜檳州(マレーシア・ペナン)各姓氏宗祠聯委員会代表団(陳国才)、緬甸(ミャンマー)華商商会聯合代表団(頼松生)、菲律賓(フィリピン)各宗親会聯合会代表団(林栄輝)、越南(ヴェトナム)各姓氏宗親会代表団(黄衍龍)、中国潮汕各姓氏宗親会代表団(黄岳群)、中国常州姓氏文化研究会代表団(薛鋒)、台湾氏宗親会代表団(羅豊裕)、港澳(ホンコン・マカオ)各姓氏宗親会(胡楚南)の約400人。タイ国内からの参加者を加え1000人ほどの関係者が集まった。
関係者の話を総合すると、3年前に泰華各姓宗親総会聯合会が組織された際、周辺各国からいくつかの宗親団体が参加し国境を越えた親睦を進めたことをキッカケに、昨年は馬来西亜檳州宗親会が同趣旨の集まりを行ったことが、今大会に繋がったようだ。
開会式でタイ側代表は、「長い間、東南アジア各地の宗親会は同姓の友誼と発展を進めるだけではなく、融和・団結・和解の社会実現を積極的に推し進め、華文(中国語)教育を積極推進し、中華文化を広め、現に住まう国と祖籍のある国の経済的発展を促進し、大中華の偉大なる復興のために最大の貢献をなし、現に住まう国と祖籍のある国との間の各種の慈善活動の促進に努め、両岸関係が平和裡に発展するよう卓越した貢献をなしてきた」と挨拶した後、この集まりを「拡大・充実させ、社会と国家に対し、さらなる貢献を成し遂げたい」とも語り、大会の恒常的開催を目指す方針を訴えていた。
23日にはタイ出身のスリンASEAN事務局長が「ASEANとタイ政府を代表し、この集まりがASEANと華人共同体の友誼を推進することを希望する」と挨拶。24日にはタイのアピシット首相(袁順利の華字名を持つ華人旧家出身)や駐タイ中国大使が参加し挨拶しているが、アピシット首相は東南アジア各国の華人に団結と地域経済への貢献を呼びかけた後、「必要ならば政府はタイの華人団体へのさらなる支持を進めるだけでなく、今後、より大規模な国際会議を主催する意向がある」と明言した。また中国大使は、「海外と祖先の出身地との連係を密にし、『郷根』との結びつきを維持し、『郷情』という思いを持ち続け、合作と発展を促進することに大きな意義がある」ことを呼びかけている。
「現に住まう国と祖籍のある国」との関係強化を大仰に訴えるは、この種の大会の常。やはり注目すべきはアピシット発言だ。リップサービスだったとしても、その前提に、そう発言せざるをえない内外情況があることを指摘したい。中国の南下は止まない。 《QED》
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