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【知道中国 455回】 一〇・九・念六
――「救命」の2文字・・・誰がショート・メールを打ったのか
死んだ子供の年齢を数えても詮ないという表現があるが、まさにそれだ。中国側から夜中に叩き起こされた時、我が商人大使閣下サマは、「いやはや着任してから中国側朝野の日中友好人士から熱烈歓迎を受け、豪華で美味な中国料理の連日連夜。熱烈感謝だが、日本人としての命の源である生鮮野菜を口にすることが極めて少なく、持病の痔疾が悪化し、歩くこともままならず。情けないことながら呻吟の日々で大使の日常業務にも支障が生じがち。我が日本大使館の医務官の診察では、大至急帰国し本格治療すべきとのこと。
そこで一日も早く東京に戻り主治医の治療を受けたく思っていたところ、エコノミーではありますが、明朝一番機になんとか座席が1席確保できましたので、一旦、東京に戻ります。そんなわけで、誠に申し訳ありませんが、急なお呼び出しには・・・」と応えておくべきだった。翌朝、北京空港の日航なり全日空の機体に救急車を横付けさせ、大使館員抱えられるようにして大仰に機内に消えればよかったものを。点滴付けて。返す返すも残念至極。
かの国には、古来、「疾を称して出でず」という最高に慇懃な政術がある。顔を合わせたくない相手、不都合な相手に対し、礼を失することなく、友好を装うには最高のマナーではないか。
さて4人の日系企業関係者が事実上の人質として拉致・監禁され、中国側は外交上の慣例を無視し、その安否はもちろんのこと、その所在すら明かしてはいないようだ(9月25日昼現在の報道)。4人に最悪の事態が発生したら・・・こんな危惧の念が菅・仙石の脳裏を過ぎり、かくて「全面降伏」に繋がったとも報じられている。
だが、ここで疑問が浮かぶ。
実情は不明だが、報じられるところでは4人のうちの1人から「助けてくれ」のショート・メールが東京の本社に届いたことから、同社首脳が浮き足立ったらしい。テレビのニュースによれば携帯電話の画面に「救命」の2文字が記されていたが、かりに携帯電話で「救命」の2文字を送信したとするなら、奇妙極まりない。なぜなら日本人の常識では絶体絶命の立場に置かれた場合、咄嗟に「助けてくれ」と声を挙げることはあっても、「救命」とは絶叫しないだろう。
緊急事態に遭遇し、日本人は「助けてくれー!」と叫ぶが、「救命だー!」とはいわない。だいいち「救命だー!」の声を聞いたなら、大抵の日本人は咄嗟に「助けろ」「助けよう」ということだろうと思っても、先ずは「助けてくれー!」の意味には受け取らないはず。やはり「助けてくれ!」の意味で「救命」の2文字を使うのは中国人であり中国的感覚ではないか。命の危険に直面した時、中国人は、「救命啊!」と大声を挙げるもの。
救急救命治療や救命胴衣という単語に象徴されるように、日本人的感覚でいうなら、救命の2文字は名詞としては使っても、動詞としては使いそうにない。このように考えるなら、携帯電話に表示された「救命」の2文字は日本人からのものとはいい難い。ならば、ショート・メールに示された「救命」の2文字は中国側に強制され日本人が、あるいは中国側が打ったとのではなかろうか。勘繰れば、揺さぶられ、引っ掛けられたことになる。
釈放された船長は英雄気取りで帰国。だが、ほとぼりが冷めた頃には、チャーター機の飛行機代を請求されるんじゃないでしょうか。なんせナンデモアリの国ですから。 《QED》
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