【知道中国 505回】        一一・一・初一

     ――そうですか・・・ならゴ随意に
     『前進在社会主義大道』(生活・読書・新知三聯書店 1975年)

 “林彪一派の毛沢東暗殺という悪辣な陰謀”を阻止・粉砕し、「文革路線の大勝利」を内外に誇示したといわれた第四次全国人民代表大会(1975年)を祝賀すべく編まれた歌集である。

 「毛主席の指揮の下で統一行動を」「毛主席の革命路線は万丈の光芒を放つ」「第四次人民代表大会を熱烈に歓呼する」「前進だ、祖国よ」「社会主義の大道を前進せよ」「団結の旗は高く翻り」「批林批孔の軍歌は高らかに」「革命・生産の新たなる高鳴りを喜び迎えよう」「紅い新世代の苗はすくすくと成長する」「紅小兵は第四次人民代表大会を歓迎する」など収録された歌の題名を並べるだけで、この歌集が何を目指しているのか。一目瞭然で、百も承知・二百も合点・・・。そこで取り急ぎ、適当に見繕って作品を“鑑賞”してみたい。

 先ずは劈頭を飾る「毛主席の指揮の下で統一行動を」

「党政軍民学(ぜんじんみん)が東西南北中(くに挙げて)、毛主席の指揮の下で統一行動を。党政軍民学が東西南北中、毛主席の指揮の下で統一行動を。紅旗は翻り大地に歓喜の歌声起こり、ラッパの響きは万山にこだます。全国軍民は隊伍を整え、歩調を合わせて勝利の前進。団結は戦闘に欠かせず、団結は勝利の保証だ。修正主義に反対し、修正主義を防ぎ、革命を継続する。マルクス・レーニン主義の下で英雄的戦いを。党政軍民学が東西南北中、毛主席の指揮の下で統一行動を。党政軍民学が東西南北中、毛主席の指揮の下で統一行動を」

 次いで「前進だ、祖国よ」なんぞは、如何でしょう。

 「大道は色鮮やかで、山河はまるで絵のようだ。我らが偉大なる社会主義の祖国は闘争の中で、より強大に。英雄人民は風雨を経て、紅旗の下で党と共に前進だ。戦に備え飢饉に備え、山のような食糧だ。激浪・暴風、怖くはないぞ。前進だ、祖国よ。前進だ、祖国よ。征途の先にどんな危難が待ち構えようと、我らの確固たる歩みは止められない」

 些かバカバカしくなってきが、もう少し付き合って戴き「団結の旗は高く翻り」を。

 「団結の旗は高く高く翻り、団結の歌は八方に響き渡り、団結の歩みは威武堂々と、団結の心は鋼に似たり。革命だ。我らの心は一つになって、紅い心は党に向く。前進だ。一つの目標、一つの方向。団結し、さらなる勝利を勝ち取ろう。我らは永遠に毛主席の革命路線に沿って進み、前方に向かって懸命に。我らは永遠に毛主席の革命路線に沿って進み、前方に向かって懸命に」

 それでは、そろそろ〆ということで、「紅小兵は第四次人民代表大会を歓迎する」

 「唱えや唱え、跳ねろや跳ねろ。団結の歌、天をも揺るがす。勝利の喜び、四海(せかい)に届く。紅小兵は主席と共にお日様迎え、リッパな戦士になるのです」

 それにしても摩訶不思議、いや正直言って不思議でもなんでもないが、この本に納められた作品の毛主席の3文字を将軍サマに置き換えれば、将軍サマがオ導きになられていらっしゃいます北朝鮮で唱われている歌といっても違和感なく通用してしまう。ということは、将軍サマの北朝鮮は毛沢東時代の中国の小型版、毛沢東時代の中国は将軍サマの北朝鮮の超巨大なデラックス版ということになりそうだが・・・嗚呼、空しいこってス。  《QED》