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樋泉克夫教授コラム
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【知道中国 804回】 一ニ・九・仲七
――なによりもダメな烏合の衆・・・それは中国人
『中國人、真奇怪!』(萬瑞君 商周出版 2011年) ジャーナリストであり、同時に中国大陸でビジネスを続ける台湾企業家(台商)団体の顧問などを務める著者は、自らの経験を踏まえ「中台の両岸に別れて60年、考え方の違いの大きさよ。中国人よ、いったい何を考えているんだ」と語りはじめる。
「経済力が世界第2位、よしんば世界第1位であろうが、やはり中国人には何かが“欠落”している」。「この欠落感は、どこから来るのか」。「中国人自身が自覚しないままに失った中国人としての佇まい、方向感、情操だ」。「現在の中国人は血統を除けば、中国人らしさは微塵もない」と説き、具体的に話を進める。
「否定し難いことだが、今日の大陸を押さえる『中国共産党』の統治実績と成果は確かに中国人の面目を一新した。だが祖先の栄光には遠く及ばない。それというのも大陸の社会は経済力というハード面を除いたら、文字通り何もないからだ。文化芸術というソフト面は見るも無惨な姿になってしまった。すでに中国人は文化芸術を創造する能力とセンスを失ってしまったようだ。であればこそ現在の大陸は、かつての漢や唐に較べ遥かに劣っているとしかいいようはない」。
かくして著者は「大陸社会は猛スピードで『文化沙漠化』への道を突っ走っている」と綴る。その原因は複雑多岐にわたってはいるが、結論的にいうなら「彼らが堕落し進取の精神を失ったことで、自らの振る舞いが他に与える影響を顧みず、積極的な生活態度を失い、人生の方向感と人格情操を欠落した低俗でオッチョコチョイな跳ね上がりになり果ててしまったことだけは、明らかに指摘できる」とのこと。
では、なぜ、こんな中国人が生まれてしまったのか。
共産党政権成立以来の過酷な社会に生まれ、過激な政治闘争を潜り抜け、生き抜いてきたことで、彼らは「伝統的な中国人とは全く違ってしまった。すべてが『新しい動物』になった」という。「新しい動物」とは、見た目は狐狸(きつね)で、為すことは狡兔・・・成功した狐狸の第一条件は、やはり「カネ儲け能力」であり「後門」の2文字で形容されるコネや人脈を手繰り寄せる能力である。責任感とか矜持とか泰然とか、カネにならないものには一切見向きもしない。
カネ儲けしたことで中国では「財大気粗」、つまりどうしようもない成金趣味が横行することになった。「中国人がモノを買う基準は価値あるものかどうかではなく、値段が高いか安いかにある」。高ければ高いほど彼らの購買意欲を刺激するというわけだ。「車体全体を金メッキした乗用車、世界で数台とないスポーツカーやリムジーンなど、全て大陸に出現している。これらの現象は中国人が『炫富』を好むからである」。中国人は炫富、つまり財産を見せびらかすことをリッパなことと思い込んでいるのだ。全くイヤミな悪趣味だ。
著者は中国には65億人が住んでいると説く。いくら何でも、そんな膨大な人口が居るわけはないだろうと思うが、著者に拠れば時に狐狸、時に狡兔として生きる中国人は1人当たり5つの顔を持っているとのこと。かくて「13億人に5を掛ければ65億人だ。13億人ですら複雑極まりないのだから、65億人となると手のつけようはない」とサジを投げる。
大陸には65億の中国人が蠢く。茫然自失し拱手傍観.など・・・してはいられない。《QED》
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