写真論TOP
 太陽はひとつ(続き)
写真3
 光源と影を結ぶ朱線は
光源が遠くなるほど、平
行になる。
 太陽光下では、線が平
行である分、影も同じ伸
び方をする。
 逆光の場合、手前の影、その影の実物、その向こうに光源。その光源を中心に放射線状に影が伸びるので光源
より左に位置するものは、影はより左に伸び、右に位置すれば、より右に伸びる。これは太陽でも人口光でも同
じであるが、被写体より手前に光源があった場合を考えてみたい。

 写真3は、人形の手前左上にライトを置いているが、これも影、人形、光源と一直線で結ばれることに変りは
ない。

 ただ、これが太陽となるとこのような近い距離に太陽が位置することは有り得ないことで、はるか彼方から照
射される太陽光は、写真
3でみる線は、全て平行になる。ついでに言えば、足よりも頭部のほうが、影が大きく
なるのは、光源と実物の距離、実物と影の距離の対比が、違ってくることから生じる。光源と足:足
:陰では、
光源と足の方が、対比で大きいが、光源と頭:頭と影では、距離対比が小さくなる分、頭が大きくなる。
この対比が逆転すれば更に頭は大きくなる。

 したがって、太陽のように彼方にある光源下では、このような頭部と足での大きさの違いは、生じることはな
い。

 太陽が横にあれば、影は、どれも同じように反対方向へ伸び、被写体の斜め手前45度にあれば、後方45度に平
行して伸びるのが、太陽の影である。

 仮に、平行に伸びないようなことが生じるとすれば、@影の映る部分が平面でないA鏡面ガラスのビルなど、
何らかの反射物が太陽を映し出し逆方向に影が出る。B太陽光に負けない光量の照明器具を使う…などの条件が
ある。しかしいずれもそれとわかり、描写に反映されるものであり。通常、影は同方向に伸び、不自然なものは
、はめ込みの可能性がある。また、影の方向や伸び方で、季節や場所も適正か判断できる。影は、写真の検証材
料になる―ということである。
                        次ページへ続く