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太陽はひとつ(続き) |
前頁では、光源と実物及び影は、直線で結ばれることを示したが、ここで東中野修道教授著“南京事件
「証拠写真」を検証する”86頁で検証されている写真を当てはめてみたい。
この写真の持つ不自然さは、この著書に詳しく説明されているが、その内の「影」について更に考えて
みたい。
ちなみに著者の指摘にも影についての指摘がある。内容は“写真Aが斬首前、Bが斬首直後であるにもかか
わらず、影の方向が一致しない”ということである。
そこで、影と実物を線で結ぶと概ね朱線のようになる。写真Bでは、頂点から右手前が、太陽の位置になる
が、写真Aでは左側になる。A線を平行移動するとA1帽子のつばと影、A2の袖など概ね一致していると見て
よいだろう。ここは、著者の指摘通りなのだが、更に不自然なのは、写真Aでは、同一の写真の中にB線の
存在があることだ。これは見方によっては、右ひじの影とも取れる。であるならA線とも一致することにな
るが、B線で平行移動した方が、この人物の帽子の影などは自然である。軍服の前の抱き合わせにある影も
B線の方が自然である。そしてこの人物の左足右側に影がないこともB線の方が一致する。ただ、B線は、
もっと真上に向いているかもしれない。この点は、著者の指摘に無い更なる不自然な点である。
著者が指摘するこの人物が履いている靴の方向の不自然さは、はっきりと断言しかねるが、この付近を境
合成された可能性があり、一枚写真(一発撮り)でない疑いがある。
座っている人物の影が無い指摘もあるが、この人物自身の光線は、A線で概ね一致するが、たしかにA線を
平行移動した場合に本来あるべき、と考えられる場所に影が見当たらないが、体で遮られ可能性もある。
しかし、A3のブーツの影が不自然である。これを座っている人物の影とした場合、A線と一致しないことは
無いが、それならもう少し顎などの顔の形状があってよいのだが、横に直線の影となっており、質感も影と
いうより塗りつぶした感じがしないでもない。 次ページへ続く