写真論TOP
 合成を必要とするケース
 薄型テレビの登場で日本の家電メーカーが元気を取り戻した。
大画面を“売り”に違う方式で競い合うメーカーをそれぞれ取材
したことがあるが、どちらも共通した悩みを持つのが、デザイン
担当者であった。「四角い画面は決まっているのだから、残った
箇所は、縁と台。一体、何処をデザインすればよいのか」・・・と。
ブラウン管は、テレビという筐体の中にブラウン管画面が埋め込
まれている感じであったが、薄型になってから、画面の占有面積
が占める割合が高くなった。大画面であっても場所を取らないこ
とが、利点なのは言うまでもない。
自然の成り行きだが、確かにデザイナーにとっては、扱いにくい
製品である。


 それら薄型テレビのチラシやパンフレットは、ブラウン管時代
以上にテレビ画面に映像がはめ込まれている。
これは、想像だが、薄型テレビが並んでも画面の占有面積が多い
分、他社との差別化がしにくくなる。量販店のチラシをみると細
かい製品写真が沢山入っていて薄型テレビは、皆、同じに見える
印象を受ける。またテレビの特性から性能評価の一番は、画質で
あることから、画面の中に「彩度、動き、鮮明」など得意とする
映像のサンプル或いはその製品のテレビ
CMなど、印象付けられる
映像をはめ込み、差別化をはかっている・・・と考えられる。


 しかし、必ず―画面は合成(あるいは「はめ込み」)です。と
コピーが打ってある。


 実は、テレビ画像は、そのまま写真に撮ると実際に見ている鮮
明な画質には写らない。
理由は、製品は、照明による反射光(照度)でテレビであること
が認識されるが、画面は、透過光(輝度)で見るものである。
この両者は相反するもので部屋が暗いほど画面、特にプラズマは
鮮明に見える特性がある。また、画面のコントラストは、人間の
目の特性を利用して表現される。黒の表現は、高い輝度との対比
で、より漆黒として認識させる。真の黒ではないのだ。


テレビ全体と画質、更に製品を斜めから見た状態では、そのテ
レビが持つ画質性能を合成せず1枚の写真で表現することが難し
いからこそ合成が使われるわけである。