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 仕事で写真を選んだ動機

 写真の仕事をはじめて三十年。依頼を受けて写真を撮る―ということは、
趣味と違い、依頼主の意向が反映される。そもそも仕事で写真をはじめた
動機は、幼年期、とにかく絵を描くのが好きだったことから小学低学年の
頃、図画工作では、一応、優秀な作品として取り上げられる常連であった。
 しかし、学年が上がるに連れ、他の生徒が上達し、描くことが特技でな
くなった。

 数年後、将来を考え「グラフィック・デザイン」を検討したが、当時、
デザインは絵を描けないと出来ないと思っていたので、既に絵を描くこと
に劣等感すらあったこの年頃、デザインは一歩引く感じで諦めた。

 この時代、自動車業界は「日産」の全盛期だったように思う。台数こそ
カローラが一番で初代「レビン」が若者に人気の的だった頃、日産には、
格上の「スカイラインGT‐R」が存在し、レビンファン(後のハチロク
は世代が違う)には失礼かもしれないが、ある意味、「レビンへの憧れは、
GT‐Rへの諦め」でもあった。
 そんな、スカイラインが「ケンとメリーのスカイライン」というキャッ
チで人気写真家、篠山紀信・立木義浩・横須賀のりあきの三人を起用し雑
誌等で広告展開をした。それらの写真、特に立木義浩の写真は、本人も含
め、とにかく格好良かった。

 そこで「カメラマンはかっこいい」「写真はシャッターさえ押せば写る」
という安易な考えで写真を職業にすることを決意。

 後に、商業写真スタジオへ面接に行くが、そのとき洗剤など日用品雑貨を
撮っていた。これは、カルチャーショックであった。
スーパーのチラシの写真を「写真」として今まで見ていなかったのだ。確か
に誰かが撮らなければ、存在しない。印象と随分違った、カメラマンの世界
をみて逆に興味を持ち、就職した。

 それから時を経て、改めて「写真」について自分なりの考えを記す試みを
したいと思い、この作業に着手する次第である。