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職業カメラマンを経験して |
写真学校にいた頃、コマーシャルを専攻していたが、理由は、
「それで食っていくため」であった。
“はじめに”の続きになるが、ファッション界で活躍するカメラ
マンに憧れたことが動機であったことから、それ以外で生計を立
てる方法が思いつかなかったのである。
しかし、写真としては「報道写真」の方が、格上らしく、学校
内においても「商業写真」を専攻する生徒を見下す印象があった。
この頃、「アサヒカメラ」など新聞社系の写真雑誌が、全盛末期
であったが、掲載されている写真は、電線だけの写真、道路の風
景など月例コンテストをみてもさっぱり意味が分からない。
趣味で写真をやっている友人の間でも、この手の雑誌に載ってい
る写真の何が面白いのかさっぱり分からないのが、正直なところ
である。しかし、学校において、このさっぱり分からない写真を
「素晴らしい」と言いながら、皆が、真似たような写真を撮って
は、批評しあう授業があり、本音で「さっぱり解らん」と言うと
撮った本人は、剥きになって声を張り上げる。
今になって思えば、彼等の写真の意味が、幾分かは理解できる
のだが、しかし当時、コマーシャルしか眼中になかった私として
は、仕上がりに勝る商業写真が、格下扱いされるのは、どうにも
理解できないものであった。
その後、学校を中退し広告写真スタジオへ就職しチラシに使う
写真を撮る仕事に携わることになる。はじめに日用品雑貨の撮影
でカルチャーショックを受けたが、モデル撮影もあり、初めて間
近に見るモデルにワクワクしたものである。当時19歳の私にとっ
ては、大半のモデルは年上である。日中は、モデル撮影のアシス
タントをして夜は、その写真をプリントする作業。寝る間もなく
仕事をしたが、気に入ったモデルの写真は、多めに焼いて自分の
分とした。後の松下のコピー「キレイなおねえさんは好きですか」
は、私の中では、既にあったコピーだ・・・と思った。
とは言え、「美人は3日見たら飽きる」も体験した。